m.a+の服に袖を通すとき、ふと感じる高揚感。
それは決して派手さではなく、構造や素材、仕立ての中に生まれる、内側からの反応のようなものです。
今回ご紹介する「ONE PIECE LONG SLEEVE BUTTONED SHIRT」は、その感覚をまとうような一着。
ITEM:ONE PIECE LONG SLEEVE BUTTONED SHIRT
Fabric:リヨセル80%シーセル20%
Color: Carbon
SIZE:46,48
PRICE:¥85,800-IN TAX
m.a+が長くつくり続けている定番のジャージシャツをベースに、HUESのために製作された別注モデルです。
まず、目に映る一番の特徴は、その色と質感。
カラー表記は「Carbon」ですが、実際にはオフホワイトの生地をベースに、墨でオーバーダイを施したもの。
いわゆる墨色ではなく、透けるような表情があり、光の加減によって淡く揺れるようなグレーにも見える、深く静かなトーンです。
この“墨染め”という加工は、ただ黒く染めるための手法ではなく、色に陰影と時間の層を重ねるような作業です。
特にこのシャツでは、襟元や袖口にかけてカーボンダイを施すことで、まるで何年も着込まれてきたかのような、使い込まれた風合いが表現されています。
そのヴィンテージ感は、偶然を装った意図的なもの。
m.a+が大切にしている完成された未完成さを、素材と加工の中に宿らせているのです。
使用されている素材は、リヨセル80%、シーセル20%の混紡。
リヨセルは、滑らかで落ち感のある植物由来の再生繊維。
そこに、海藻由来の繊維・シーセルが加わることで、よりしっとりとした肌当たりと、通気性・吸湿性に優れた軽やかさが加わっています。
汗ばむ季節にも快適で、素肌の上に直接羽織ってもストレスのない心地よさがあります。
今回のモデルでは、従来よりもさらに生地が薄く、柔らかくアップデートされており、その軽さとしなやかさは、写真からも伝わってきます。
細部の仕上げも、m.a+らしい美学が詰まっています。
裾は断ち切りのままのラフな仕様。
あえて整えすぎないことで、素材そのものの柔らかさと空気感が引き立ちます。
また、ボタンの中で一番上だけがシルバーパーツに切り替えられており、静かなトーンの中に一点だけ光る緊張感を宿しています。
シルエットは、m.a+らしい縦にすっと長いライン。
身体に沿うタイトなフィット感ですが、素材のストレッチ性が効いており、見た目のシャープさに反して、動きやすくストレスを感じさせない着心地です。
袖丈や着丈もやや長めに設計されており、動いた際に生まれるドレープや揺れが、美しく身体に追従します。
画像からも、その佇まいは伝わってきます。
身体に自然と馴染みながら、どこか意思のあるラインを描くそのシルエットは、無理のない日常のなかでこそ映えるような、力強さを持っています。
実際の着用時には、カーディガンのように軽く羽織ることができるのも大きな魅力。
タンクトップやTシャツの上にラフに重ねていただくだけで、生地をまとうようなスタイリングが完成します。
気温が下がる季節には、シャツとしてジャケットのインナーにも活躍してくれます。
そして、このシャツの大きな魅力は、気負わずに日常で着られること。
手洗いも可能で、カーボンダイ加工により「汚れが気になる」という感覚すらも味わいに変えてくれます。
きれいに着るための服というよりも、着ていくうちに、その人の時間と共に育っていく服。
だからこそ、どんなに丁寧につくられていても、生活のなかにすっと馴染み、毎日の風景に溶け込んでくれるのです。
m.a+の服に共通するのは、あらかじめ完結された“完成品”ではなく、着る人の手で時間をかけて“完成していく服”ということ。
このジャージシャツもまた、着る人の暮らしや動作と響き合いながら、シワや色の変化、風合いの深まりと共に変化していきます。
鏡の前ではなく、歩いているときの風や、ふと袖をまくったときの手の動き。
その何気ない瞬間にこそ、この服の本当の魅力が詰まっています。
ぜひ一度手に取って感じていただきたい一点です。
HUES 3rd floor
福岡市中央区警固1-15-28吉浪ビル3F
092-717-6074












