※ご準備している間に完売してしましましたが、せっかくなのでご紹介させてください。
2026-27年秋冬コレクションの中でも、ひときわ目を引いたロングジャケットがあります。
ランウェイを見た時、「袖が赤いジャケット」というよりも、黒い服の中に赤がゆっくり滲んでいくような見え方でした。
派手な色を使っているのに、不思議と色だけが先に立たない。
黒を知り尽くしたヨウジヤマモトだからこそ生まれた一着です。
LEFT-SLEEVE NEEDLE-PUNCHED JACKET/ HW-J21-148 /¥272,800
店頭でも「赤袖コート」「赤袖ジャケットありませんか」とお問い合わせをいただくことが多かったモデルです。
実際に袖を通していただくと、「思っていたより着やすいですね」という言葉が返ってくることも少なくありません。
写真では赤い袖に目がいきますが、この服の面白さはそこだけではありません。
2026-27年秋冬コレクションでは、このジャケットは細身のパンツではなく、分量のあるパンツと組み合わされていました。
ロングジャケットにワイドパンツ。
一見すると重くなりそうな組み合わせですが、歩くたびに裾が揺れ、赤い袖が少しだけ見えることで、重さではなく流れが生まれています。
特にランウェイでは、黒一色で構成されたルックが続く中、この赤が一瞬だけ視線を引き寄せました。
決して主役になるための赤ではありません。
黒をより黒く見せるための赤。
そんな使われ方が印象に残っています。
このジャケットを近くで見ると、今シーズンを象徴するディテールが随所に散りばめられています。
肩周りの切り替えやフラップポケットには、ミリタリーウェアを思わせる要素。
2026-27年秋冬は、コレクション全体を通してミリタリーのディテールを取り入れたアイテムが数多く登場しました。
ただ、それはヴィンテージを忠実に再現するようなアプローチではありません。
機能性やディテールだけを抽出し、それをヨウジヤマモトの服へ落とし込む。
だから軍服のようには見えず、それでいてどこか緊張感のある空気をまとっています。
このジャケットも同じです。
肩の構築やポケットの配置には力強さがありますが、それを長い着丈が中和しています。
さらに袖へ向かって現れる赤が、服全体を柔らかく見せてくれます。
だから無骨にもならない。
色物にもならない。
この絶妙なバランスが、この服を特別なものにしています。
素材にはヨウジヤマモトの代名詞とも言えるシワギャバではなく、ウールフランネルを採用しています。
表面にはわずかに毛足があり、光を柔らかく受け止める生地です。
同じ黒でもシワギャバのようなシャープさではなく、少し空気を含んだような温かみがあります。
秋冬らしい厚みを感じられる素材ですが、決して重苦しい印象にはなりません。
生地が身体に沿って自然に落ちるので、ロング丈でも動きは軽やかです。
総裏仕様になっているため、防寒性も十分。
デザインだけでなく、冬のアウターとして実用面もしっかり考えられています。
真冬にニットやジャケットの上から羽織ることもできるので、シーズンを通して活躍する一着です。
そして、このジャケットの最大の見どころは、やはり左袖です。
袖全体が単純に赤いわけではありません。
黒から赤へとゆっくり変化していくグラデーション。
まるで黒い布の中から赤が浮かび上がってくるようにも見えます。
静止している時よりも、歩いた時の方が印象は強くなります。
腕を振った瞬間。
ポケットへ手を入れた瞬間。
振り返った瞬間。
そのたびに赤が少しだけ姿を見せます。
だから着ている本人よりも、周りから見た時の方がこの服の良さが伝わるかもしれません。
前から見ると黒いロングジャケット。
横を向いた時に赤が現れる。
後ろ姿でも袖だけが静かに色づく。
見る角度によって印象が変わる服です。
シルエットは、ヨウジヤマモトらしいロング丈。
肩幅や身幅には適度なゆとりがありますが、必要以上に大きく見せる設計ではありません。
身体を包み込むというより、布をまとっているような感覚です。
前を開けて歩けば裾が流れ、ボタンを留めれば縦のラインが際立つ。
どちらの着方でも雰囲気は大きく変わります。
パンツは細身でも合わせられますが、このジャケットはワイドパンツとの相性が抜群です。
布量のあるパンツと合わせることで上下の動きが繋がり、袖の赤もより自然に映えます。
今シーズンのコレクションでも、その組み合わせが数多く見られた理由が、実際に着てみるとよく分かります。
写真だけでは伝わりきらない服です。
色も、生地も、長さも、歩いた時の見え方も。
すべてが動きの中で完成していきます。
コレクションで印象に残った理由も、店頭で実際に袖を通した方が驚かれる理由も、おそらくそこにあります。
黒いロングジャケットという安心感の中に、ほんの少しだけ赤を加える。
そのわずかな変化だけで、着る人の印象まで変えてしまう。
2026-27年秋冬コレクションを象徴する一着と言っていいロングジャケットです。














