Yohji Yamamoto POUR HOMMEから、パンツとニットの2型が入荷しました。
どちらも黒ですが、今回面白いのは、その黒が色だけで完結していないところです。
布の重なりや動き、編み地の凹凸によって、同じ黒の中にいくつもの表情が生まれています。
まずは、昨年リリースされHUESでも早い段階で完売した通称「外ドレープパンツ」。
今季はアーミーギャバジンで登場しました。
ARMY GABARDINE OUTER DRAPE PANTS
HW-P13-101 / ¥94,600
名前の通り、腰から腿にかけて布を外側へ大きく取ったパンツです。
そこから裾に向かってゆっくりと細くなり、正面から見ると丸みのある独特のシルエットが生まれます。
ただ、このパンツは立っている時だけを見るよりも、実際に歩いた時の方がよく分かります。
外側に余った布が身体の動きに合わせて揺れ、止まるたびに少し違う位置へ落ちる。
ヨウジのパンツには、着る人が動くことで初めて形が見えてくるものがありますが、この外ドレープパンツもまさにその一本です。
そして今回は、昨年のシワギャバとはシルエットの見え方がかなり変わっています。
同じパターンでも、生地が変われば服の表情は同じにはなりません。
シワギャバで作ると、外側に取った大きな分量がやわらかく落ち、歩くたびに輪郭がほどけていきます。
布が身体へ近づいたり離れたりするので、ボリュームはありながらも軽やかです。
一方、今回のアーミーギャバジンは、もう少し輪郭が残ります。
生地に厚みがあるため、腰から腿にかけてのふくらみが身体から少し離れたまま保たれ、そこから細い裾へ自然に繋がっていく。
シワギャバがドレープそのものを楽しむ外ドレープだとすれば、アーミーギャバは形の丸みや陰影をよりはっきり楽しめる外ドレープという印象です。
布が重なる場所には深い影ができ、歩くたびにその位置も変わっていきます。
黒一色なのに、見る角度によって濃淡が変わる。
ヨウジの服を見ていると、黒はひとつの色ではなく、布の動きによって増えていくもののように感じることがあります。
今回のパンツは、その感覚がとてもよく出ています。
そして、シワギャバとのもう一つの違いが季節です。
シワギャバは、真夏を除けばかなり長い時期に穿ける素材です。
シャツにもジャケットにもコートにも合わせやすく、どんなスタイルにも自然に入ってくれる。
感覚的に言えば、いつでも80点以上を出してくれるような安心感があります。
だからこそ、定番として長く穿き続けられる。
一方、今回のアーミーギャバジンは、もう少し冬に寄った一本です。
厚みがあり、ニットやコートと合わせた時に全体の空気が揃いやすい。
冬の装いには、夏とは違う布の重さや密度があります。
そういう季節になった時、このパンツを合わせることで、スタイリングがすっと完成に近づくような感覚があります。
一年中使える服はもちろん便利です。
でも服が好きなら、その季節になって初めて出番がくる服を持っていることも、とても大切だと思います。
冬になったら穿きたくなるパンツ。
その時期を待つことまで含めて、服を楽しむ時間です。
HW-K21-199 / ¥80,300
もう一型は、ウール100%のクルーネックニット。
一見するとシンプルな黒ですが、近くで見ると、身頃から袖にかけて異なる編み地が重なっています。
ところどころ編み目が浮き、端が少し捲れ、その間に小さな影ができる。
色で柄を見せているのではなく、編み方だけで表面に変化を作っています。
外ドレープパンツが、大きな布の動きによって黒に陰影を作るなら、このニットはもっと小さな凹凸で同じことをしています。
光が当たるところは少し明るく見え、その下には黒が残る。
すべて同じ黒なのに、平らには見えません。
ゆとりのあるシルエットなので、一枚で着れば編み地の表情がよく分かります。
ジャケットやコートの中に入れると、首元や胸元から少しだけ凹凸が覗く。
遠くから見るとシンプルで、近づくと少し違う。
そのくらいの距離感が、このニットには合っていると思います。
今回の2型は、見た目にはかなり違う服です。
ただ、パンツは布の動きで、ニットは編み地で、どちらも黒の見え方を変えています。
そして外ドレープパンツについては、昨年のシワギャバを見た方にも、ぜひ今回のアーミーギャバを比べていただきたいです。
同じ形でも、布が変われば印象は変わる。
長い季節を支えてくれるシワギャバと、冬だからこそ楽しめるアーミーギャバ。
どちらが優れているということではなく、着たい季節が違う。
そういう選び方ができるのも、ヨウジのパンツの面白さだと思います。










