Oct. 29. 2024
木工家 浦上陽介 個展 “ GAZE / 眼差し”
木の持つ自然な風合いと力強さ、そして繊細な美しさを表現する木工家・浦上陽介氏。 木そのものの年輪や木目を活かし、漆や箔を使って独自の手法で仕上げられた作品は、静かに語りかけてくるような存在感を放ちます。 11月2日から1 […]
木の持つ自然な風合いと力強さ、そして繊細な美しさを表現する木工家・浦上陽介氏。
木そのものの年輪や木目を活かし、漆や箔を使って独自の手法で仕上げられた作品は、静かに語りかけてくるような存在感を放ちます。
11月2日から11月17日までの期間、Galerie Hにて、浦上氏の作品を展示販売いたします。

今回、Galerie Hが提案するのは「布」ではなく「木」。
木工家・浦上陽介氏が手がける作品を通して、HUESがなぜ木に魅了され、なぜ洋服店であるHUESが木工を扱うのか、その理由を感じていただきたいと思います。
浦上氏の作品は、木の本来の美しさを見極め、職人の技が加わることで、まるで魂が宿るかのような存在感を持っています。
それらは力強さと静けさを兼ね備えたアートピースと言えます。

HUESが扱うアルチザンブランドには共通するテーマがあります。
それは、素材の持つ可能性を最大限に引き出すこと、そして職人が一つひとつ丁寧に仕上げること。
浦上氏の作品もまさにその精神を体現しています。木の息づかい、年輪の深み、時間の積み重ねが見事に表現され、見る者を圧倒します。


普段は洋服に溶け込むように展示されている当店の家具も、実はHUESの空間づくりに欠かせない要素の一つ。
パリでの展示会やデザイナーのアトリエでも、木が大切に扱われ、床や家具など空間を創り上げる一部となっています。
時間と共に味わいを深め、より美しさを増していくのが木の魅力です。
HUESのギャラリーの床も10年の歳月を経て、今や唯一無二の風合いを纏っています。
今回の展示では、木という素材がいにしえより人々の営みに欠かせないものであること、
またアートピースとしての木の仕事を日常に取り入れることで、木が現代の生活に貢献できることを伝えることが出来ればと思います。
それでは木工家・浦上陽介氏についてもう少しご紹介させて下さい。

GAZE / 眼差し
素材と対話し、真摯に向き合う木工家・浦上陽介。
彼の作品には、木が持つ本来の美しさと卓越した職人技が融合し、唯一無二の存在感が漂います。
今回の展示では、浦上氏の豊かな手仕事とともに、東北の自然が育んだ素材の魅力を存分にお届けいたします。
浦上氏の作品の特徴は、木そのものの生命力を引き出す独自の表現にあります。
「木は完璧な素材」と語る浦上氏は、木の年輪や木目を丁寧に活かし、漆や箔を用いて作品を仕上げ、自然と人が響き合う瞬間を作り出しています。
作品には、木の「呼吸」や「時間の積層」が感じられ、まるで自然と人が対話しているかのような趣が漂っています。


東北の落葉樹である栃、楓、楢などを使った作品には、箔を重ね、焼きを加えてグラデーションを生み出す蓋付きの箱や角皿があります。
それは木と時間が織りなす芸術そのもの。また、拭き漆を地に用い、
墨で格子柄を描いた小皿は、木の柔らかな表情と漆の光沢、墨のにじみが融合し、繊細な中にも力強さを感じさせます。



これらの作品は、宮城県蔵王町のこけしの里として有名な工房が連なる通りの一角にある浦上氏の小さな工房で生み出されています。
東京でデザインを学び、家具職人としての修行を経て、自然豊かな東北の地で、四季と共に木に触れながら作品づくりに没頭しています。
その作品には、積み重ねた木工技術と、常識にとらわれない独自の発想が表現されています。
「技術は継承できても、そこに個性を見出すことが重要だ」という彼の姿勢には、
木工技術を単なる職人技としてではなく、自身の表現の一部として昇華させる強いこだわりを感じます。


例えば、箔の重ね方、焼きやひっかきによる独特のテクスチャー表現は、彼の作品に「動き」と「時間の流れ」を加え、
木そのものの魅力を引き出すだけでなく、見る者に新たな発見を与えてくれます。
今回の展示会は、作品だけでなく、浦上陽介が見つめる木の世界、そして彼の独自の哲学に触れていただけるかと。
一部ですが、今回の展示会の作品をご覧ください。






木という素材の本質に迫り、自然と人が織りなす「美」を体感いただけることと思います。
2020年のコロナ以降、多くの人が自身のライフスタイルを見直し、内面や感性を満たす生活の在り方に目を向けるようになりました。
今や、ファッションは洋服だけにとどまらず、より広い意味での「表現」として捉えられています。
そんな現代に応え、新たなファッションとアートの形を提案する場として、HUESでは今年ギャラリーを開設しました。
浦上陽介氏の作品が象徴するように、自然と素材に真摯に向き合うことで生まれる美しさや温かみを、日常に取り入れることで、
時間と共に深まる豊かな暮らしが実現できると信じています。
ファッションとアートの境界を超えた「木工の世界」をぜひHUESで体感してみてください。
また、今回ご紹介したイベント内容をHUES YouTubeでもご紹介しています。
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