今回はすでに完売してしまいましたが、それでもご紹介したい一着があります。
MARIA TURRIの服は、追加生産がありません。同じ生地も、同じ手描きも、もう二度と作ることができないからです。
だからこそ、記録として残しておきたいと思いました。
今回ご紹介するのは、HUESでも長く支持されているMARIA TURRIの「KIMONO JACKET」。
今シーズンも入荷後すぐに旅立ってしまいましたが、このジャケットは毎回違う表情で届きます。
同じ"KIMONO JACKET"という名前でも、生地が変われば空気も変わる。
だから毎回見逃せません。
BRAND : Maria Turri
ITEM : Kimono Jacket
SIZE : 44.46 SOLD OUT THANK YOU!!!
COLOR : Black
FABRIC : Wool 100%
PRICE : Ask
今季選ばれたのは、柔らかな毛羽立ちを持つヴィンテージライクなウール100%の生地。
新品なのに、新品らしく見えない。
最初から何年も着られてきたような落ち着きがあり、着始めた瞬間から身体に馴染んでくれます。
派手な素材ではありません。
でも歩いた時、腕を動かした時、黒の中にわずかな陰影が生まれます。
その見え方がとてもMARIA TURRIらしい。
そして、このジャケットでまず目を引くのは、裏地です。
完成したジャケットの裏側へ、MARIA自身が一着ずつ直接スケッチを描き入れています。
服を縫い終えてから筆を入れる。
普通なら完成した服に手を加えることはありません。
でもMARIAはそこで終わらない。
左右で描き込みも違い、線の強弱も違う。
描き直しもありません。
その時にしか描けない線が、そのまま残っています。
だから同じものは存在しません。
さらに購入いただいた方には、MARIAが手作業で制作したラビットドールも付属します。
こちらも一体ずつ表情が異なり、服と同じように世界に一つだけのものです。
細部を見ると、このブランドらしい仕事が随所にあります。
きれいに揃えることを目的にしていないからこそ、生地そのものが自然に動き、着るほどにさらに表情が増していきます。
このジャケットの名前にある"KIMONO"は、見た目だけの話ではありません。
MARIAは日本の着物の構造から着想を得て、このパターンを作っています。
身体に合わせて立体的に作るというより、一枚の布を身体へ沿わせる発想。
だから肩は自然に落ち、背中にはゆるやかな丸みが生まれます。
歩けば裾が少し遅れて揺れ、立ち止まると静かに落ち着く。
決まった形を着るというより、自分の動きで形が生まれる服です。
男性でも女性でも無理なく着られるのも、この構造だからこそ。
体型を強調するのではなく、その人の身体に合わせて自然に馴染んでいきます。
今回ご紹介したジャケットは、すでに完売しています。
ですが、この一着を紹介したかったのは、「売りたいから」ではありません。
MARIA TURRIの服は、毎シーズン同じものを作るブランドではありません。
生地も変わり、手描きも変わり、その時しか作れない服が届きます。
だから完売したあとでも、そのシーズンにどんな服が生まれたのかを残しておきたい。
来年また新しいKIMONO JACKETが届いたとしても、それは今回とはまったく別の一着になるはずです。
その違いも含めて、このブランドの面白さだと思っています。












