今日はマルジェラから今シーズンを象徴する一着をご紹介。
BRAND : MAISON MARGIELA
ITEM :Fragmented Floral Zip-Up Cardigan
FABRIC : ウール/アクリル
COLOR :
SIZE :M
PRICE : ¥672,100-税込
今シーズンのMaison Margielaは、“完成された美しさ”ではなく、時間の経過によって生まれる曖昧さや崩れた美しさにフォーカスしたコレクションを発表しました。
2026年春夏コレクションでは、新たなクリエイティブディレクター、グレン・マーティンスによる初の本格的なプレタポルテが始動。
メゾンが長年大切にしてきた“デコルティケ(解体)”の思想をベースにしながら、より現実的で日常に落とし込めるコレクションへと進化しています。
その空気感を象徴しているのが、今日ご紹介する“Fragmented Floral Zip-Up Cardigan”です。
印象的なのは、崩れかけたようなフローラルパターンです。
単なる花柄ではなく、16世紀フランドル地方の壁紙や装飾をモチーフに、それが時間と共に剥がれ落ちていく様子を表現したデザイン。
柄が綺麗に並ぶのではなく、あえて断片的に配置されることで、どこか退廃的でアートのような空気を生み出しています。
この“未完成さ”や“違和感”こそ、マルジェラらしさ。
創設者マルタン・マルジェラは、縫い代を見せたり、裏地を表に使ったりすることで、「服の完成形とは何か」を問い続けてきました。
このカーディガンもまた、その哲学を現代的にアップデートした一着と言えます。
シルエットはハイネック仕様のジップアップタイプ。
身体に沿うスマートなラインでありながら、どこか余白を感じさせる独特なバランスが特徴です。
ジップを上まで閉めると構築的でシャープな印象に、少し開けることで柔らかく抜け感のある雰囲気へと変化します。
素材にはウールとアクリルを使用。
ニットらしい温かみを持ちながらも、どこかノイズ感のある質感によって、クラシックさと人工的なムードが同居しています。
美しいのに、少し不安定。
上品なのに、どこか壊れかけている。
その相反する要素が共存しているところに、このアイテムの魅力があります。
背面には、マルジェラを象徴する4ステッチ。
ブランドロゴを主張するのではなく、“ラベルを縫い付けていた跡”だけを見せるという匿名性のデザインです。
この控えめな姿勢もまた、メゾンらしい美学のひとつ。
今のファッションは、分かりやすいデザインや強いインパクトが求められることも多いですが、マルジェラはむしろ逆を行きます。
綺麗に整えすぎない。
説明しすぎない。
少し違和感を残す。
だからこそ、この服には着る人それぞれの解釈が生まれます。
グレン・マーティンスによる今シーズンのマルジェラは、これまでのガリアーノの幻想的な世界観を引き継ぎながらも、
より“リアルに着られるアヴァンギャルド”へと向かっている印象です。
このカーディガンもまた、単なる柄ニットではありません。
時間の経過や記憶、そして不完全さの美しさを、静かに纏うための一着です。









