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Dec. 21. 2025

イザベラ ステファネッリのハンドウーブン ジェームズ

本日は、Isabella Stefanelliの新作コレクションの中から、ハンドウーブン ファブリックを用いたモデル 「JAMES」 をご紹介します。 あわせて、今シーズンのテーマ、 そして改めてイザベラというブランドの […]

イザベラ ステファネッリのハンドウーブン ジェームズ

本日は、Isabella Stefanelliの新作コレクションの中から、ハンドウーブン ファブリックを用いたモデル 「JAMES」 をご紹介します。

あわせて、今シーズンのテーマ、

そして改めてイザベラというブランドの根幹にある思想と制作背景にも触れていきたいと思います。

ITEM: JAMES

Fabric: ウール50% リネン50%(ハンドウーブン)

SIZE:S

PRICE: ASK

 

今回で16回目のコレクションとなるイザベラ・ステファネッリ。

Season XVI のタイトルは “Re-View”。

それは単なる「振り返り」ではなく、時間と身体、記憶と感覚をもう一度“通過し直す”という行為を意味しています。

ロンドンのアトリエで、手織りと手縫いを制作の核に据え、極めて個人的なスピードで服作りを続けるイザベラ。

彼女のルーツはイタリアのメンズテーラリングにあります。

父のアトリエで育ち、布に触れること、手を動かすこと、規律を身体で覚えることが日常だった幼少期。

テーラリング、舞台衣装、量産現場、クリエイティブパターン、ヘッドテイラー、品質管理——

「作る」という行為の全体を、自身の身体を通して学んできました。

そうした背景があるからこそ、「自分の布を作る」という行為は、彼女にとって必然でした。

今や“織り”は、イザベラのクリエイションの中心にあります。

Re-View は、イザベラ自身の航跡をたどるコレクションです。

アトリエに蓄積された手織りのアーカイブを前に、彼女は古い写真をめくるように、身体と心で過去を行き来します。

一本の緯糸が、当時の色、場所、思考の温度を呼び戻す。

ある記憶に触れている最中にも、別の記憶が差し込んでくる。

水中を泳ぐように、あるいは風景の上空を滑空するように、記憶が重なり合うその感覚の中で、彼女は触覚を通して、思考や感情、パターンをもう一度問い直しました。

「私は、自分という海の新しい読者になった」 そう語るイザベラは、以前とは違う呼吸、違うリズムで布と向き合っています。

Re-View とは、その新しい呼吸そのものです。

今季のハンドウーブン・ファブリックは、過去の糸だけで再構成されたものもあれば、過去と現在の糸が結び合い、新たに生まれたものもあります。

いずれも“復刻”ではありません。

あくまで“継続”。

過去と生成のあいだにある運動を、そのまま布に留めたものです。

シーズン16で用いられているイザベラ・ステファネッリの手織り生地は、すべて共通の経糸設計と基礎構造から生まれています。

ひとつの起点から、4つの異なる表情へ。

同じ骨格を持ちながら、糸の選び方や配置、織りのリズムによって、布はまったく違う呼吸をはじめます。

この生地づくりの核心にあるのは、経糸に、通常のほぼ倍の糸本数を与えていること。

それは、布に密度と奥行きを与えるための選択であり、同時に、織り手にとっては非常に緊張感のある工程でもあります。

経糸が増えるほど、張力は不安定になり、わずかな狂いが布全体に伝わってしまう。

手織りでは、そのすべてを身体の感覚で受け止め、整え続けなければなりません。

けれど、その困難さこそが、仕上げの工程で生地に豊かな表情をもたらします。

経糸が前に出たり、沈んだりしながら、光を受けて陰影をつくる。

触れるたび、見る角度ごとに、表情が静かに揺れ動く。

それは、均質さでは決して得られない、生きた布の佇まいです。

このシーズンでは、 ブラックと生成がランダムに交差するもの。

縦方向に生成の「バンド」が明確に走るもの。

そのバンドが黒へと溶け込んでいくもの。

そして、全体が生成へと移ろうもの。

4つの変奏が用意されています。

今回ご紹介する JAMES に使われているのは、BB(Black Band) と呼ばれるタイプ。

経方向に走る生成のバンドは、この布の“軸”のような存在です。

視線を導き、かたちを支え、同時に、どこか余白も感じさせる。

強さと静けさが、同じ面の上で共存しています。

この布の運動性を決めているのは、ヘドル(綜絖)を通る経糸の配列です。

どの糸が、どの順序で上下するのか。

そのわずかな違いが、緯糸の動きに影響し、布のしなり、落ち方、着たときの身体との距離感を変えていきます。

この生地では、ゆったりとした綾と、引き締まった綾という異なるリズムが一枚の中に共存し、歩くたび、動くたびに、布が応答するような感覚を生み出します。

こうした複雑な設計を、手で織るということ。

それは、効率や再現性とは無縁の行為です。

織り機の前で、糸の緊張に耳を澄ませ、手の動きと呼吸を揃えながら、少しずつ布を前へ進めていく。

そこには、急ぐ理由も、近道もありません。

だからこそ、この布には時間が宿り、感情が沈殿します。

JAMESに使われているこの生地は、単なる素材ではなく、イザベラが今この瞬間に立っている場所、その思考と身体の記録そのもの。

袖を通したとき、その静かな重みと、やわらかな動きの中に、手織りでしか生まれない“生きた質感”を、きっと感じていただけるはずです。

ベースとなる繊維は、リネン(亜麻)。

涼しさにも、温もりにも触れることができ、古くから人の身体とともに体温を調整してきた素材です。

季節や環境に寄り添いながら、静かに呼吸するように機能する。

その性質が、イザベラの服づくりと深く重なっています。

緯糸は、生地がどんな役割を担うのか、どんな動きを求められるのかによって選ばれます。

このモデルでは、ウールを織り交ぜた、しっかりとした重みを持つ糸。

布に落ち着きと奥行きを与え、身体の動きに応じて、ゆっくりと応答するための選択です。

イザベラが何より大切にしているのは、「布が自ら物語ること」。

意図を押しつけるのではなく、糸と構造が自然に導き出す振る舞いを信じる。

だからこそ、選ばれる糸は常に限られています。

その生地の運動に本当にふさわしいものだけ。

触れたとき、着たときに、言葉よりも先に感覚へ届くことを知っている糸だけが、この布の中に残されています。

JAMES は、アイルランド出身の小説家 James Joyce(ジェームズ・ジョイス) から着想を得て生まれたモデルです。

言葉を解体し、再構築しながら思考を深めていった彼の姿勢は、この服の佇まいと静かに重なります。

着丈を長く取り、胴から下に十分な生地量を確保するため、パターンは胸下で切り替えられています。

この構造によって、布は身体の動きに寄り添いながら、歩くたびに豊かな陰影を描き出します。

ダブルブレストのボタンは、すべて留めても、トレンチコートの襟のようにラペルを立てても、あるいはすべて開けても構いません。

決まった正解はなく、着る人の気分や所作に応じて、自然と表情が変わっていく。

JAMES は、そうした“余白”をあらかじめ許容する服です。

パターンは意図的に簡素に保たれています。

それは、かたちを主張するためではなく、布そのものの存在を前に出すため。

縫製もまた、テーラリングに由来する最小限の手縫いに留められています。

過剰な装飾を削ぎ落とすことで、素材と構造、そして時間の痕跡が、より静かに、しかし確かに立ち上がります。

各ピースには、その服に込められた思考の要点を記したタグが添えられています。

それは説明書ではなく、ひとつの手がかりのようなもの。

着る人が、自分自身の感覚でこの服と向き合うための、控えめな導線です。

「自明なものを、そのまま受け取らない」 それが、イザベラ・ステファネッリの一貫した姿勢です。

彼女にとってデザインとは、何かを一方的に“与える”行為ではなく、時間の中で“なっていく”もの。

生産は少量で、一貫して自社内。

それぞれのピースが、匿名的なプロダクトではなく、ひとつの存在として立ち続けるための選択です。

ブランドは、彼女自身の歴史や経験を受け止める器。

道具は、長い時間をかけて培ってきた技術。

そして服は、感情や思考を、触れることのできる手触りへと変換するための媒介です。

JAMES という一着には、そのすべてが内包されています。

完成された答えではなく、着ることで初めて立ち上がる思考の痕跡。

それは流行や消費とは異なる時間軸の中で、確かに、存在しています。

 

 

なお、HUES 3rd floorをご覧になりたい方は、ご来店時にHUES 1st floorにてお申し付けください。

※Isabella Stefanelliの商品は、ブランドの意向によりお値段の掲載が出来ません。気になるお客様は、メールかお電話にてお問い合わせください。

 

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