
本日ご紹介するのは、Isabella Stefanelliの2025年春夏シーズンより、アップデートされた新型「Virginia Jacket」。
イザベラ・ステファネッリを象徴するモデル“VIRGINIA”の系譜を受け継ぎながら、より現代的なバランスへと昇華された一着です。
ITEM: Virginia Jacket
Fabric:
SIZE: L
PRICE: ASK
“VIRGINIA”というモデル名は、20世紀モダニズム文学を象徴する英国の作家ヴァージニア・ウルフに由来しています。
独自の視点で世界を見つめ、規範にとらわれずに言葉を紡いだウルフの姿勢と、型にはまらないイザベラの服作りの哲学が重なり、この名が与えられました。
ステファネッリの作品は、ファッションというカテゴリに収まらない思想的深度をもっており、そこに込められた手間と時間、知識と感性は、「衣服を纏う」という行為を、まるで文学のように、豊かな意味をもつ行動へと変えてくれます。
今回のVirginia Jacketに使用された生地は、1837年創業の名門ファブリックメーカー“MOON社”による英国製ウール。
クラシカルなグレンチェックをベースに、ほんのりと赤が差し込まれた独特なパターン構成は、イザベラ本人によって編集されたもの。
ただ伝統をなぞるのではなく、現代の空気感と彼女自身の詩的な感性が織り込まれており、
「歴史と更新」というステファネッリの制作姿勢が端的に表れたテキスタイルです。
生地は軽やかでドライな肌触り。 手に取るとすぐに感じられる、英国羊毛ならではのハリと芯のあるしなやかさ。
そこに繊細な杢感や色彩の奥行きが重なり、空間と光の中で様々な表情を見せます。
裏地を一切排したアンコン仕立て。
それにより、服の構造がより明確に、そして潔く表に現れます。
縫製には、イザベラが長年のキャリアの中で習得してきた“フラットウェルトシーム”を全面に採用。
これは、一度ミシンで地縫いした後に、縫い代を折り伏せながら、内側をまつっていく非常に手間のかかる技法。
表にステッチが響かず、裏地がなくとも縫い目のあたりが柔らかく、肌との接地感にストレスがないのが特徴です。
加えて、裾や袖先には、生地の耳(セルヴィッジ)部分をそのまま活かし、無縫製でフィニッシュ。
これは単なる装飾や意匠ではなく、“布そのものの美しさをそのまま服に宿す”という、イザベラの姿勢を如実に表す仕様です。
一方で、あえて裁ち切られている箇所には、目を凝らしても分からないほどの極細のハンドステッチが施されており、
糸そのものも生地と同色のものを選び抜いているため、構造が視覚的に“溶け込む”ように存在します。
フロントには、通常のVirginiaでは省かれることも多いボタンが2つ配置されています。
このボタンも、単に機能として存在するのではなく、「服としての構造的完成度」と「着用者の自由」を両立させるための、計算された配置。
ボタンそのものは主張せず、それでいて無ければ成立しないような存在感を漂わせています。
これらすべてのディテールは、最終的に「衣服とはどのような存在であるべきか」という問いに、
イザベラなりの解を差し出しているようでもあります。
従来のVirginiaと比べて短めに設定され、全体的にコンパクトな印象を受けますが、決して窮屈さはなく、イザベラ特有の丸みを帯びた柔らかなシルエットがしっかりと残されています。
肩は自然に落ち、アームホールも独特のカーブを描いています。 これにより、肩や腕まわりに程よい動きが生まれ、体の動きに服が寄り添ってくるような感覚が味わえます。
身頃は、一枚の布をぐるりと巻き込むような構成。 背中にも脇にも切り替えがなく、縫製箇所は極端に少ない。
それによって、動いた時に服全体が「一体のフォルム」としてしなやかに変化し、歩くたびに揺れ、流れ、形を描きます。
性別や体型を問わず着用できる“包容力”もまた、VIRGINIAという名を冠するこの一着ならではです。
イザベラ・ステファネッリが培ってきた40年以上の経験、縫製における精度と思想、そして生地そのものへの深い理解と敬意が、全身に染み込んでいます。
その服は、語りすぎることもなく、飾り立てることもなく、ただ「在る」という美しさを纏っている。
それはまさに、彼女が信じる“洋服の本質”そのものです。
ぜひこの機会にお試しください。
なお、HUES 3rd floorをご覧になりたい方は、ご来店時にHUES 1st floorにてお申し付けください。
※Isabella Stefanelliの商品は、ブランドの意向によりお値段の掲載が出来ません。気になるお客様は、メールかお電話にてお問い合わせください。
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