
本日もGeoffrey B. Smallの2025年春夏コレクションからご紹介を。
ITEM:reversible 2-1 jacket with welt & patch pockets
FABRIC:hand dyed Varese 100% cotton lightweight birdseye
COLOR:hand dye grey/blue
SIZE:M
Geoffrey B. Smallの手によって生み出されたジャケットは、単なるリバーシブルジャケットではありません。
Geoffrey B. Smallの手仕事によって丁寧に作られた、世界で2着しか存在しない特別なジャケット。
そのうちの1着がHUESに入荷しています。
このジャケットの出発点は、Geoffrey自身が何年にもわたって積み重ねてきたテーラリングの研究成果。
その中でも、ショート丈で構築的なスリムフィットのライダースジャケット型は、彼の中でもとりわけ洗練されたフォルムの一つとされています。
そこへ、Geoffreyが掲げる「伝統 × 革新 × 手仕事 × 持続可能性」というテーマが丁寧に織り込まれ、本作は生まれました。
そして、このジャケットの大きな魅力は、「真のリバーシブル設計」であること。
裏返せばまったく別のジャケットかと思えるほど、色、ポケットの位置、ステッチ、ディテールが異なっており、
ただ表と裏が使える、という機能性のレベルをはるかに超えたデザイン構造になっています。
表はチャコールグレー、裏はディープネイビー。それぞれの面で異なる個性がありながら、不思議と共通する“静けさ”が全体を貫いています。
ポケットも両面で独自にデザインされ、合計6カ所。
フラットな仕立てと立体的な仕立て、ミニマルな配置と実用的な配置、それぞれの表情が表裏で対照的に表現されています。
その差異が着る人の気分やコーディネートを映し出し、まさに「1着で2着分以上」の価値を生んでいます。
素材には、イタリア・ヴァレーゼ地方で丁寧に織られた、
超軽量なダブルフェイスのコットンピケ・バーズアイ織り“Superleggero”を採用。
この生地は、手に取った瞬間に感じる驚くほどの軽さと、目を凝らさなければ見えてこないほどの繊細な織り模様が特徴です。
表面は滑らかでドライな質感を持ち、着たときにはふわっとした空気を含むような柔らかさを感じさせてくれます。
それでいて適度なハリもあり、輪郭を崩すことなく身体に沿うように形を保ち続けます。
その生地にさらに深みを与えているのが、Geoffreyのアトリエがあるヴェネツィア・カヴァルツェレでの手染め工程。
1着につき15時間以上をかけて染められるこのプロセスでは、
色の濃淡、質感の調整、柔らかさ、パティーナ(経年美)といったすべての要素に対して、職人の手と目と感覚が働きかけられます。
一着一着に「手作業でしか生まれない自然なムラ」や「均一でない、奥行きある表情」が生まれています。
たとえば色のにじみや、染まり方の濃淡、糸のテンションのわずかな差――それらは決して“誤差”ではなく、
人の手が入るからこそ宿る味わいであり、完成品としてのジャケットに独特のあたたかさと“余白”を与えています。
その仕上がりには、決して強く主張するような派手さはありません。
けれど、静かに、じんわりと見る人の視線を引き寄せるような存在感がある。
誰にも似ていない、けれどどこか普遍的。そんな、控えめで奥行きのある個性が、このジャケットには込められています。
ボタンには、Geoffreyが長年信頼を寄せるパルマの職人Claudio & Cinzia Fontanaによる本水牛ボタンを使用。
小さなパーツでありながら、木目のような模様とナチュラルな光沢が生地の風合いと呼応し、ひとつのアクセントとなっています。
ボタンの取り付け位置や数もリバーシブルの構造に合わせて調整されており、どちらの面で着用しても不自然さのない仕上がりです。
さらに、全11カ所のボタンホールにはシルク糸を使用し、ひとつひとつ手縫いで仕上げられています。
糸の張り具合や針の運びにまで気を配りながら、1か所あたり10〜14分をかけて丁寧に縫い上げるその作業には、
服に対する深い敬意と、技術への誇りが詰まっています。
そして、実際に袖を通したとき、その完成度の高さはより強く伝わってきます。
まず感じるのは、とにかく軽いということ。空気をまとうような着心地で、ジャケット自体の重さをほとんど感じません。
ショート丈ならではの収まりの良さと、スリムフィットの輪郭が絶妙に身体に沿い、無理なくナチュラルに着こなせます。
肩のラインにはわずかな余裕があり、自然な落ち感が生まれます。身幅にも窮屈さはなく、それでいて全体の印象はとてもシャープ。
袖をロールアップすれば、裏面のカラーがちらりと覗き、スタイリングの中にさりげない遊びが生まれます。
その日の気分や合わせる色に応じて、チャコールとネイビーを切り替える。
ボタンの留め方で印象を変える。ポケットの構成をスタイリングの一部として活かす。
そんなふうに、日々の装いと向き合う時間に「選ぶ楽しさ」と「着る意味」を与えてくれるジャケットです。
職人技・素材・構造・感性がひとつに結びついたジャケット。
ぜひこの機会にお試しください。
HUES 3rd floor
福岡市中央区警固1-15-28
092-717-6074