先日ご紹介したブラウンのプルオーバーは、Geoffrey B. Smallの中でも新鮮な一着でした。
コロンビーナの手織り生地を、コートやジャケットではなく、毎日のように身体へ近い場所で着る。
その発想自体が面白く、着てみると「コロンビーナってこんなに柔らかかったのか」と驚かされる服でした。
お陰様でブラウンのプルオーバーは、完売いたしました。ありがとうございます。
そして今回ご紹介するのは、そのブラック。
同じパターンでありながら、着た時の印象は驚くほど違います。
一般的なブランドであれば、ブラウンとブラックは単なる色違いとして並ぶことが多いかと思います。
ですがGeoffrey B. Smallでは、それだけで終わりません。
染め方も、生地の見え方も、一着ごとの表情も違う。
同じ服を着ているはずなのに、まるで別の服のように感じられます。
Geoffrey B. Smallが考える、「色違い」では終わらない素材違いの提案です。
形は前回と同じ、丸首のリラックスプルオーバー。
肩は自然に落ち、身幅にもゆとりがあります。
胸や肩で形を作るのではなく、生地そのものが身体へ沿って落ちていく設計です。
袖も少し長めに設定され、手元に自然なたまりが生まれます。
大きく見せるためのオーバーサイズではありません。
身体と服の間へ空気を残しながら、その空気ごと包み込むようなシルエットです。
前面には大きなカンガルーポケット。
一般的なスウェットを思わせるディテールですが、実際に着ると印象はまったく違います。
ポケットが主張するのではなく、生地の柔らかさによって自然に馴染み、一枚の布として見えてきます。
もちろん、今回も使われているのは、Tessitura La Colombinaによる総手機織りの生地。
Lanificio Tollegno 1900のメリノウール糸を使い、
18世紀から受け継がれる木製手機でゆっくりと織り上げられています。
一着分の生地を作るだけでも二日以上。
さらに織り上がった後は、Geoffreyの工房で何時間もかけて手染めと洗いを繰り返し、ようやく一着の服になります。
効率とは正反対の作り方です。
だからこそ、生地には均一ではない表情が残ります。
近くで見ると、黒一色ではありません。
細かなネップが全体へ散り、ところどころに白い粒が現れています。
この小さな表情があることで、黒なのに重く見えない。
光を受けると、その粒が少しだけ浮かび上がり、生地全体に奥行きが生まれます。
写真でも、その質感はよく伝わると思います。
無地ではあるけれど、決して平面的ではありません。
ブラウンは、柔らかな陰影が印象に残る色でした。
光を受けると少し赤みを帯び、布の起伏がゆっくり浮かび上がる。
どこか温度を感じる色です。
一方、このブラックは色が前へ出るというより、生地そのものが見えてきます。
黒だからこそ、手機織りの凹凸やネップ、織りの密度が素直に伝わってきます。
同じ形でも、ブラウンは色を楽しむ服。
ブラックは織りを楽しむ服。そんな違いがあります。
袖を通した時の感覚も変わりません。
裏側にはイタリア・コモのBrennaファミリーによる16匁のシルクラソサテンを使用。
肌へ触れた瞬間の滑らかさは、スウェットというより高級なガウンに近い感覚です。
しかも、カンガルーポケットの内側までシルク。
見えない部分まで同じように仕立てられています。
襟、袖口、裾の始末は手仕事。
ブランドタグもシルク製で、シルク糸だけを使って縫い付けられています。
ここまで徹底する理由をGeoffreyは説明しません。
ですが、着ると自然に分かります。
肌へ触れるものだからこそ、見えない部分まで手を抜かない。
その積み重ねが、この着心地になっています。
続いて着用感を。
このプルオーバーは、着方を選びません。
一枚で着てもいい。
シャツを裾から少しだけ覗かせてもいい。
写真のようにストライプシャツを重ねると、首元や裾から柄がわずかに見え、黒い生地とのコントラストが自然に生まれます。
肩に力の入った重ね着ではありません。
プルオーバーがあくまで主役で、その下に少しだけ色を添える。
Geoffreyらしいレイヤードです。
秋には一枚で。
冬にはコートの中へ。
厚すぎないので、季節が進んでも着方を変えながら長く付き合えます。
今回製作されたのも世界でわずかな数量。
HUESのためだけに届けられた特別な一着です。
ブラウンとブラック。
同じ型ですが、どちらが上という話ではありません。
ブラウンにはブラウンの良さがあり、ブラックにはブラックの良さがあります。
Geoffrey B. Smallの素材違いは、「色を変えました」という提案ではありません。
同じパターンを通して、生地や染色が服の印象をどれだけ変えるのか。
その違いを楽しんでほしいという提案です。
同じ服を作っているようで、実際にはまったく違う服を作っている。
それがGeoffrey B. Smallというブランドらしいものづくりなのだと思います。
残りのストックは一着となっておりますので、
ご興味ありましたらお早めにご連絡ください。
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HUES
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