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Aug. 21. 2026

ジェフリー B.スモール カシミアコロンビーナ ベスト 2026年秋冬

今回ご紹介するGeoffrey B.Smallのカシミアコロンビーナ ベストですが、実はこちら、すでに完売しています。 購入いただくことができない服をご紹介するのも申し訳ないのですが、世界で4着、そのうち日本に届いた1着 […]

ジェフリー B.スモール カシミアコロンビーナ ベスト  2026年秋冬

今回ご紹介するGeoffrey B.Smallのカシミアコロンビーナ ベストですが、実はこちら、すでに完売しています。

購入いただくことができない服をご紹介するのも申し訳ないのですが、世界で4着、そのうち日本に届いた1着はHUESのために作られたもの。

そして、今シーズンのGeoffreyを見ていく上でも、やはり紹介しておきたい一着。

せっかくなので、少しだけお付き合いください。

ITEM: handmade high collar vest with front placket and pleated hem w/ handmade buttonholes & Fontana buttons
FABRIC: Entirely handwoven Tessitura La Colombina hand washed 100% Cariaggi Cashmere w/ Pure Como Silk 16-momme raso satin exclusive large floral print superlux linings
COLOR: hand wash black with silk floral print lining
SIZE: M
SOLD OUT

カシミアコロンビーナ ベストは、Geoffrey B.Smallが「GBS Evolution XII」と呼ぶシリーズから生まれたプルオーバーベストです。

世界で製作されたのは4着。

そのうち日本向けの1着が、HUES福岡のために作られました。

ベースになっているのは、アメリカ軍のM-51パーカ。

Geoffreyが長年続けているテーラリング研究の中でM-51のパターンを検証し、大きく手を加えながら、最終的にはプルオーバーのベストへと変化させています。

完成した姿から、いわゆるミリタリーウェアを想像することはほとんどありません。

M-51のディテールを引用するというより、身体を包む分量や動きやすさ、その構造を利用している。

Geoffreyの服では、こういう作り方が時々出てきます。

そして今回、何より見ていただきたかったのが生地です。

使われているのは、イタリアのCariaggiによるピュアカシミヤ。

そのカシミヤ糸をTessitura La Colombinaのマスターウィーバー、Carlo Colomboが古い木製手機を使って織り上げています。

Geoffreyのためだけに作られた、ブラックのチェスボード織り。

遠目には黒いカシミヤですが、近くで見ると細かな格子が浮かびます。

光が当たると、その凹凸が少しだけ強くなる。

身体が動けば布も曲がるので、また違う黒に見える。

色を加えず、織りだけでこれだけ表情が変わるのは面白いところです。

そして、このカシミアコロンビーナ ベストを一着作るために必要な生地を織るだけで、2日以上を要します。

カシミヤという言葉自体は、今ではそれほど珍しいものではありません。

産地や番手、品質を数字で比較することもできます。

でも、この生地については、そうしたスペックとは少し違う見方をしたくなります。

一人の職人が手機の前に座り、糸の状態を見ながら、一着分の布を二日以上かけて織る。

素材の価値というより、そこに人の時間がどれだけ含まれているか。

コロンビーナの生地を見ていると、いつもそのことを考えます。

内側には、イタリア・コモのBrenna familyがGeoffreyのために製作した16匁のピュアシルク・ラソサテン。

大柄のフローラルプリントが入ったコモシルクを、総裏で使っています。

表は黒い手機カシミヤ。

裏返すと、まったく違う景色が出てきます。

着てしまえばほとんど見えません。

だから必要ない、と考えることもできる。

それでも、そこに手を抜かないのがGeoffreyの服です。

縫製を終えた後は、ヴェネツィア・カヴァルツェレのアトリエで一着ずつ手洗いし、形を整えながら独自のトリートメントを加えています。

新品を均一に整えるというより、少し着込んだ服のように、生地を身体へ近づけていくための工程です。

手機のカシミヤが持っている膨らみは残しながら、手に取った瞬間から柔らかい。

新品なのに、どこか新品らしくない。

Geoffreyの服に触れたことがある方なら、なんとなく分かっていただける感覚だと思います。

ボタンは、パルマのClaudio FontanaとCinzia FontanaがGeoffreyのために製作したリアルホーン。

少し大きめのボタンで、この服の高い襟にもよく合っています。

ボタンホールには、ミラノのBozzolo Realeによるピュアシルク糸。

一つずつ手縫いです。

今回の手機カシミヤは特に扱いが難しく、ボタンホールをひとつ作るだけでも10〜15分ほどかかるそうです。

数センチのボタンホールに10分、15分。

服全体で考えれば本当に小さな部分です。

でも、その小さな時間が何度も積み重なって一着になる。

Geoffreyの服を細かく見ていくと、価格や希少性とはまた別の尺度が見えてきます。

ポケットもそうです。

両脇のシームに沿って作られているため、外からはほとんど目立ちません。

ところが手を入れると、ポケットの内側まで表地と同じ手機のピュアカシミヤ。

普通なら別布に置き換えても困らない場所です。

むしろ、その方が合理的です。

でも、手を入れた時に触れるところだからこそカシミヤを使う。

誰かに見せるためではなく、着る人のために作られた部分です。

主要なフィッティング部分には約2.5cmの縫い代も残されています。

身体が変わればサイズを調整する。

傷んだら直す。

数年ではなく、その先まで着ることが最初から服の中に含まれています。

ブランドラベルまでピュアシルク。

TorregliaのMion SpAがGeoffreyのために製作した手染めのラベルを、さらにシルク糸で手縫いしています。

表地だけを特別にするのではなく、見えないところまで同じ基準で作る。

裏返して見ていると、そのあたりがよく分かります。

 

ハンガーに掛けて見ると、大きな襟とカシミヤの織りが印象に残ります。

ところが着てみると、最初に気になるのは裾でした。

裾には複数のダーツが入っています。

単純に身幅を大きく取るのではなく、布の分量をダーツで少しずつ内側へ戻すことで、

身体の周囲に丸みのある空間が生まれています。

身体から少し離れているのに、大きすぎる感じはしない。

前から見るのと、横から見るのでも随分印象が変わります。

ここでM-51をベースにしているという話が、少しだけ見えてきます。

軍服の形を残すのではなく、身体の周囲に余白を持たせる考え方を残す。

そこからプルオーバーベストへ持っていくのですから、ずいぶん遠いところまで来ています。

襟は幅が広く、高さもしっかりあります。

ボタンを上まで留めると顎下まで覆い、開けば大きな襟として自然に落ちる。

シャツ一枚の上でもいいですし、ニットを入れてもいい。

ジャケットの上から着ても面白いと思います。

ベストと聞いて想像するより、ずっとアウターに近い服です。

そして、これだけ布を使っているのに軽い。

歩けば裾が少し遅れて動き、立ち止まると、またゆっくり元の形へ戻る。

このあたりは、やはり着ないと分かりません。

手機で織られた生地には、糸の張りや密度、色の見え方にわずかな違いがあります。

工業的に均一な布とは、そもそも考え方が違います。

同じベストを4着作っても、完全に同じ4着にはならない。

Cariaggiがカシミヤ糸を作る。

Carlo Colomboが手機で二日以上かけて一着分の布を織る。

Brenna familyがコモでシルクを作る。

Fontanaがホーンボタンを作る。

そしてカヴァルツェレで裁ち、縫い、洗い、仕上げる。

 

残念ながら、HUESに届いた日本唯一のカシミアコロンビーナ ベストはすでに完売しました。

せっかく読んでいただいたのに、購入いただけない服の話で申し訳ありません。

ただ、イタリアでこれだけの人と時間を経て作られた一着が、日本に一着だけ届いて、短い時間でもHUESにあった。

それなら、きちんと残しておきたいと思いました。

Geoffrey B.Smallの服を扱っていると、売れたら終わり、という気持ちにはなかなかなれません。

もう店頭にはありませんが、今シーズンのHUESに確かにあった服です。

少し長くなりましたが、今回は紹介だけさせていただきました。

 

その他にも多数のジェフリー B.スモールのアイテムが入荷しております。

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※Geoffrey B.Smallのアイテムは、ブランドの意向により価格をオンライン上へ掲載しておりません。

 

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