今日は、Geoffrey B. Smallの2026SSコレクションの中でも、少し特別な一本をご紹介します。
ITEM: exaggerated wide leg trouser with drawstring gathered elastic waistband
FABRIC: Pure Como Silk 16 momme satin raso exclusive Antique Persian Paisley print
COLOR: hand overdye brown paisley
SIZE: ONE SIZE
世界で6本。
そのうち日本に届いたのは、この一本だけです。
数が少ないから特別なのではありません。実物を前にすると、その理由はすぐに分かります。
生地、染め、仕立て。そのすべてに、Geoffrey B. Smallが積み重ねてきた時間が詰め込まれているからです。
今回ご紹介するのは、2026年春夏コレクションよりHUESのためだけに製作された新型のワイドパンツ。
まず目に飛び込んでくるのは、生地の存在感です。
使われているのは、イタリア・コモの老舗シルクメーカー、ブレンナファミリーがGeoffreyのためだけに織り上げた特別なシルク。
滑らかなラソサテンに重なるのは、「アンティーク・ペルシアン・ペイズリー」と名付けられたオリジナル柄です。
光を受けるたびに浮かび上がる艶。
その奥に見える複雑な模様。
派手さとは少し違う。どこか古いペルシャ絨毯や長い年月を経た布のような空気をまとっています。
さらに、この生地は完成後にGeoffrey自身の工房で一点ずつ手染めされています。
染めては洗い、乾かし、また染める。
10時間以上かけて繰り返された工程によって生まれた色の揺らぎや陰影は、工業製品ではまず出せないものです。
同じ生地を使っても、同じ表情は二度と生まれません。
むしろ、その不均一さこそが魅力。
Geoffreyが作ろうとしているのは大量生産の服ではなく、長い時間をかけて完成する工芸品のような衣服です。このパンツにも、その考え方がしっかり息づいています。
もちろん、見えない部分にも妥協はありません。
ポケットは手作業で仕立てられたインシーム仕様。内側の縫製はイタリア製サテンテープで丁寧に包み込まれています。
裾はミシンではなく手縫い。
表から縫い目が見えない特殊な手法で仕上げながら、日常着として十分な強度も確保しています。
美しいだけでは意味がない。
長く着られてこそ価値がある。
そんなGeoffreyらしい考え方が伝わってきます。
さらに主要な縫い合わせ部分には十分な縫い代が残されており、将来的なサイズ調整にも対応可能。
何年も、何十年も着続けることを前提に作られています。
付属するシルクラベルに至るまで天然素材のみを使用し、取り付けも手縫い。
細部まで見れば見るほど、この一本がどれだけ手間と時間をかけて作られたのかが伝わってきます。
シルエットは今シーズンから登場した新型パターン。
ウエストはドローコードとゴムを組み合わせた気軽な仕様ですが、穿くと驚くほど美しい。
特に印象的なのは裾に向かって広がる圧倒的なボリュームです。
歩くたびにシルクが大きく揺れ、空気を含みながら流れるようなドレープを描く。その姿はワイドパンツというより、袴やロングスカートにも近い印象です。
それでいて腰まわりは驚くほどすっきり。
ただ大きいだけではなく、立体的で洗練されたバランスにまとめられています。
生地の落ち感とパターン設計。
その両方を知り尽くしたGeoffreyだからこそ生み出せるシルエットです。
世界で6本。
日本ではHUESだけに届けられた一本。
シルクの美しさ、手染めならではの表情、そしてGeoffrey B. Smallが長年追求してきた仕立ての技術。
それらがひとつになったこのワイドパンツは、単なる服という言葉では少し足りません。
穿き込むほどに表情を変え、身体に馴染み、持ち主だけの一本へ育っていく。
そんな服と過ごす時間の面白さを、改めて思い出させてくれる作品です。









