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Sep. 12. 2026

ジェフリー B.スモール ビエラフランネル テイラードブルゾン

ジャケットなのか、ブルゾンなのか。 今回ご紹介するアイテムを見ていると、最初にそこが少し曖昧になります。 5つのボタン。 フルライニング。 きちんと仕立てられた前身頃。 大きく取られたポケット。 作りだけを見れば、テーラ […]

ジェフリー B.スモール ビエラフランネル テイラードブルゾン

ジャケットなのか、ブルゾンなのか。

今回ご紹介するアイテムを見ていると、最初にそこが少し曖昧になります。

5つのボタン。

フルライニング。

きちんと仕立てられた前身頃。

大きく取られたポケット。

作りだけを見れば、テーラードジャケットの流れにある服です。

ですが、服全体から受ける印象はもう少し柔らかい印象です。

構えたジャケットではなく、日常の中で自然に手に取るブルゾンのような空気感。

この中間の感じが、Geoffrey B. Smallらしさを感じます。

ITEM: 1920's fully lined 5 button tailored blouson jacket 
FABRIC: Biella 100% wool Flanella fabric w/viscose lining
COLOR: hand wash black
SIZE: S, M, L
World exclusive for HUES

洋服としてのカチッとした雰囲気はある。

けれど、着る人を緊張させすぎない。

今回のテイラードブルゾン は、HUESのためだけに作られたワールドエクスクルーシブモデル。

世界で製作されたのは、わずか3着です。

ベースとなっているのは、Geoffrey B. Smallが長年のテーラリング研究から作り上げてきた、リラックスカットの5ボタン・テーラードブルゾン。

“テーラードブルゾン”という言葉が、この服にはよく合います。

ジャケットほど固さはなく、ただのブルゾンではない。

その曖昧な場所に、きちんと服としての理由があります。

表地には、イタリア・ビエラで織られたピュアエクストラファインメリノウールのフランネルツイルを使用しています。

ジェフリー好きの方はご存知かと思いますがビエラは、上質なウール生地の産地として知られる場所。

この生地も、触れるとまず柔らかさがあります。

ただ柔らかいだけではありません。

ツイルの組織によるわずかな綾の流れがあり、フランネル特有の起毛感が黒の表情を少し曇らせています。

真っ黒なのに、平らではない。

光が当たると、深く沈む部分と、少しだけ浮く部分が出る。

この黒は、分かりやすく強い黒ではありません。

近くで見た時に、じわっと奥行きが出てくる黒。

そして、その黒の内側に入るのが、Ezio Ghiringhelliによる幾何学柄のジャカードライニング。

イタリア・ヴァレーゼで作られた、キュプラとビスコースの裏地です。

 

前を閉じている時にはほとんど見えません。

ですが、脱ぐ時、椅子に掛けた時、ふと裏地が返った時に少しだけ現れる。

Geoffrey B. Smallの服は、表だけで完結しません。

着ている本人しか見ない部分。

ふとした時にだけ見える部分。

そういう場所に、ジェフリーならではの美学があります。

完成した服は、ヴェネツィア近郊カヴァルツェレにあるアトリエで、一点ずつ手作業によって洗い、形を整え、仕上げられています。

これは、ただ風合いを出すためだけの作業ではありません。

良い生地を選び、仕立て、さらに手を加える。

そうすることで、生地の表情が少しほぐれ、服としての硬さが取れていく。

Geoffrey B. Smallの服には、完成したばかりなのに、もう少し時間を経たような表情があります。

古く見せるためではなく、着る服として始めるための準備。

このジャケットにも、その感覚があります。

ポケットも印象的です。

 

大きめに取られた、ハンドカットのファットベソム・ウェルトポケット。

きちんと仕立てられたポケットですが、どこか道具的な強さがあります。

飾りではなく、手を入れる場所としてしっかり存在している。

このポケットがあることで、ジャケットのきちんとした顔に、少しだけ作業着の匂いが混ざります。

そこも、この服の面白いところです。

ボタンは、イタリア・パルマのClaudio and Cinzia Fontanaによるリアルホーンボタン。

“Ciotolla”と呼ばれる、ボウル型のホーンボタンです。

少し丸みがあり、中央に向かって沈むような形。

表面には切り込みのような加工が入り、光の当たり方で表情が変わります。

小さなパーツですが、このボタンが並ぶことで、服全体の見え方が変わります。

黒いウールに、天然素材のボタン。

それだけで、工業的な均一さから離れていきます。

ボタンホールは、Geoffrey B. Smallらしい手縫い仕様です。

このジャケットには7つの手縫いボタンホールが入り、Bozzolo Reale Milano Setaのピュアシルク糸で仕上げられています。

ひとつを切り、縫い上げるのに10分から12分。

数字として聞くと、たしかに手間はかかっています。

でも、それよりも大事なのは、実際にボタンを留める時の感覚です。

指先に少し抵抗がある。

糸がボタンを受け止める。

服を着る動作が、ほんの少しゆっくりになる。

この小さな時間が、Geoffrey B. Smallの服にはあります。

内側には、Mion SpAによるピュアシルクラベル。

プラスチックポリエステル糸を使わずに作られた、Geoffrey B. Smallのためのラベルです。

手染めによって色と艶を出し、ピュアシルク糸で手縫いされています。

色の濃淡やわずかな揺らぎは、手染めによるもの。

均一ではないことを、欠点として消していない。

この服全体に通っているのは、そういう感覚です。

完璧に揃えるのではなく、人の手が入った跡を残す。

でも、粗く作るわけではない。

奥行きのある黒の中に、素材の柔らかさ、裏地の柄、ホーンボタンの艶、手縫いの糸が少しずつ重なっています。

 

ここからは、実際の着用感を。

シルエットに程よい余白があります。

身頃にはゆとりがあり、肩も強く作りすぎていません。

ただ、フルライニングの5ボタンジャケットなので、全体の見え方は崩れません。

前を閉じると、テーラードの線が出る。

前を開けると、ブルゾンのように軽く着られる。

この切り替わりが自然です。

生地は柔らかく、身体から少し離れながら落ちます。

きっちりと形を固定するジャケットではなく、動いた時に少し余白が出る服です。

腕を下ろした時。

ポケットに手を入れた時。

前を開けて歩いた時。

そのたびに、ジャケットの硬さよりも、ブルゾンのような軽さが見えてきます。

太いパンツと合わせると、全体に重さが出ます。

細いパンツと合わせると、ジャケットの丸みが見えやすくなります。

ウールギャバジンの黒とも、古いコットンのような鈍い素材とも相性が良いと思います。

強く主張する服ではありません。

ですが、袖を通すと普通の黒いジャケットではないことが分かります。

ビエラのウール。

ヴァレーゼの裏地。

パルマのホーンボタン。

ミラノのシルク糸。

トッレリアのシルクラベル。

カヴァルツェレの手仕事。

いくつもの土地と人の仕事が入っています。

それでも、完成した姿はとてもシンプル。

HUESのために作られた、世界3着のみのアイテムです。

ジャケットとして整いながら、ブルゾンのように着られる。

その曖昧な場所に、Geoffrey B. Smallの服の良さがあると思います。

 

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