先日お知らせした DIOGUARDI(ディオグァルディ) トラウザーズ・オーダーイベント。
会期は 11月22日(土)— 11月30日(日)。
今日はそのDioguardiから “Re.Touched” の全貌をご紹介します。
一本のヴィンテージトラウザーズをデザイナーのダニエル自らがカットして縫い上げ
現代の新しいトラウザーとして作りあげたのがDioguardiの“Re.Touched”。
“直す” ではなく “再彫刻する” アプローチです。
一本のヴィンテージトラウザーズだけを素材として用い、複数本の接合やパッチワークは一切行いません。
元のシーム構造を尊重したまま、前身頃のセンターに「ここしかない」という位置で
大胆な切り替えを入れ、ウエストベルトや腰位置に精密なダーツを追加。
背面はヒップ下から伸びるダーツで、腰の丸みを柔らかく受け止める。
ハンガーにかけた状態でも、股ぐりの布が反対の身頃へと静かに入り込み、
前股に“面”が生まれているのが視認できます。
脚を通すと、その面からワタリ、膝、裾にかけて 内股の線がなだらかに落ちてゆく。
多くのパンツが外側のラインで語られるのに対して、
DIOGUARDI は 重力でだれやすい内側の線をどう美しく保つかに徹底してこだわる。
シルエットが「立って完結する」のではなく、歩く・座る・階段を上る―
―動きの中で完成するよう設計されているのが最大の特徴です。
仕上げには、縫い目や裁ち端にブラシをかけ、糸や袋布、
時にマーベルトの糸までが意図的に露わになるディテールを与えます。
ラフに見えるこの“露出”は偶然ではありません。
精緻に組まれた構造に、あえて一滴だけ未完成の気配を差すことで、内なる美を際立たせる。
完璧を知る手が、ほんの少しだけ重力を許す。
そのバランス感覚こそ DIOGUARDI の美意識です。
一本あたりの制作は 約8〜10時間。
ロンドンのアトリエで本人が手を入れて仕上げる一点物。
DIOGUARDI は英国でテーラリングを学び、欧州のハイエンドメゾンで 専属テーラーとして、
既に出来上がった服を顧客の身体へ正確に寄せる仕事を続けてきた人物。
その日々の中で磨かれたのは、「すでにあるものを、どこまで美しく作り変えられるか」という視点と、
実装するための手技でした。
DioguardiのRe.Touchedは、 デニム/ウール/コーデュロイ/チノ の4種類があります。
価格は、ウールが 97,900円(税込)、チノ/コーデュロイ/デニムが 86,900円(税込)。
サイズはすべて一点物ながら、S/M/L の3レンジに振り分けています。
目安として S は 28 インチ前後(女性〜小柄な男性)、
M は 30〜31 インチの標準、
L は 32〜34 インチ相当。
ただし原型となる個体が異なるため、同じ M の中にも小さめ/大きめの個体差があります。
今回のイベントでは 全4素材あわせて約40本をご用意しました(現物販売)。
HUES ONLINE でも掲載予定です。
素材ごとに画像でご紹介します。
デニムは、ブラックやグレーを中心に、緯糸側がインディゴという希少な個体もあり、
洗練と無骨さの同居が魅力です。
深い股上と高めに設定されたバックのベルト位置が、腰を包み込むようなフィットを生み、
前股の“面”と相まって独特の陰影をつくる。
裾はクラシックな まつり縫いで、内側には 5〜10cm 程度の余裕(裾裏の生地)を残すことが多く、
ヴィンテージの風情と仕立ての文法が共存します。
ウール素材はピンストライプから無地カーキまで幅広く展開。
もともとの背ダーツに追加のダーツを重ねる設計で、腰の収まりがいっそうしなやかに。
ベースの完成度が高いぶん、仕上げのブラッシングで露出させた糸が、光沢のある裏地と強いコントラストをつくり、
内側の構造美までもが表情として立ち上がります。
シルエットの美しさと履き心地の良さ、その両方をはっきり感じられる一本です。
コーデュロイは細畝~太畝まで揃い、ダークグリーンやバーガンディといった希少色もラインナップ。
畝が生む陰影に“噴き出す糸”が重なって、見た目の情報量(密度)がぐっと増します。
その結果、ハンガーに掛けている段階から形が自立して見えるほどの造形美が現れます。
素材と構造が噛み合った、存在感の強い一本です。
チノは、生地表面がフラットできめ細かいぶん、
あえて見せた“糸の噴き出し”やカットラインとのコントラストがいちばん鮮明に出ます。
両玉縁ポケットやマーベルトといった英国クラシックの作りはそのままに、端正さがきちんと残るのも魅力。
タック入りのモデルは、腰まわりにやわらかな丸みを持たせつつ、
脚線はすっとシャープに落ちる——ふくらみと細さが気持ちよく共存する一本です。
共通して感じられるのは、深めの股上/ハイウエスト/自然に収束するテーパードという
DIOGUARDI のスタイル。
腰のホールドは柔らかく、ワタリには造形のための適切なゆとりが置かれ、
内股のラインがはっきりと描かれる。
外側は重力に従っても真っ直ぐ美しく落ちるものですが、
本当にシルエットの善し悪しを決めるのはダレやすい内側だという、
テーラーならではの確信が全ての一本に通底しています。
だからこそ、履き心地と見た目が、どちらかの我慢で成立していない。
楽だから妥協するのでも、格好のために締め付けるのでもない。
動くほどに立体が深く見え、時間の経過で色が引き、地がやわらいでも、
古びずに「深くなる」方向へ育っていきます。
一本のパンツが、装い全体の雰囲気を変えてくれます。
その実感を、ぜひ体で確かめてください。
仕立ての痕跡を近くで観察するのも、このコレクションの醍醐味です。
ウエストベルトは一度カットされ、必要な数だけの切り替えと摘みで再接続されます。
前身頃ではポケット袋布を身頃に挟み込む個体が多く、
フロントポケットの使用をあえて限定することで、腰回りのフォルム維持を優先する設計。
バックは背中心のシームを触らず造形するため、ポケット位置がわずかに外へ寄り、
後ろ姿のバランスも独特のニュアンスに。
どれもが機能ではなく 造形と保持のための選択であり、
クラシックな文法と前衛の美学が矛盾なく同居しています。
複数の候補から、最良の一本に“出会う”体験そのものを楽しんでいただければ幸いです。
いずれもダニエル本人がロンドンのアトリエで仕上げる一点物です。
ぜひ、この機会にお試しください。
HUES
福岡市中央区警固1-15-28 吉浪ビル1F
092-717-6074




















