Archivio J.M.Ribotのレディースラインが、HUESに初めて届きました。
意外に思われるかもしれませんが、Archivio J.M.Ribotにはブランドが始まった頃からレディースラインが存在します。
メンズの人気が高く、日本ではどうしてもそちらへ目が向きがちですが、ブランドの歩みを見れば、レディースは後から加わったものではありません。
最初から同じ場所にあり、同じ考え方で服が作られてきました。
だから今回HUESでご紹介する一着も、「女性向けにデザインされた服」という見え方はあまりしません。
Archivio J.M.Ribotが考える服づくりを、そのまま女性の身体へ落とし込んだようなブレザーです。
ブランド名にある「Archivio」は、イタリア語で"アーカイブ"を意味します。
過去を再現するブランドではありません。
時間が積み重ねてきたものに価値を見出し、それを現在の服へと繋いでいく。
その姿勢はメンズもレディースも変わりません。
今回届いたブレザーを見ても、その考え方はよく分かります。
WOMEN BLAZER O FRESCO LANA LEGGERA RED FLOWER
Archivio J.M.RibotのレディースラインがHUES初登場。
シワ感のあるブラックウールに、鮮やかな赤いフラワーが映えるブレザー。
メンズ同様、素材と時間に向き合ったコレクションです。
最初に目に入るのは、黒の中で静かに浮かび上がる赤い花。
鮮やかな赤です。
ですが、不思議と派手には見えません。
黒との対比で強く見せるというより、長い時間を過ごした服の上に、一輪だけ花が咲いたような印象があります。
花は飾りではありません。
服の一部として自然にそこへ存在しています。
Archivio J.M.Ribotは、こういう距離感がとても上手いブランドです。
主張はあります。
ですが、その主張が着る人より前へ出ることはありません。
だから何年経っても飽きません。
このブレザーを手に取ると、まず生地の表情に目がいきます。
近づいて見ると細かなシワが無数に入っています。
アイロンで伸ばすべきシワではありません。
織りや洗い、仕上げまで含めて生まれた、生地そのものの表情です。
触れると柔らかい。
でも頼りない柔らかさではありません。
ウールらしい弾力を残しながら、空気を含んだような軽さがあります。
新品なのに、生地だけ少し時間が先を歩いているような感覚があります。
Archivioの服には、最初から着古したような雰囲気があります。
ヴィンテージ加工という言葉だけでは説明しきれません。
実際に古い生地を使うこともありますし、新しく織った生地にも時間を感じさせる工程を加えています。
目指しているのは「古く見せること」ではなく、時間を経ても違和感なくそこに存在できる服です。
だから新品を着ているというより、自分のワードローブにずっとあった服をもう一度取り出したような気持ちになります。
そして、このブレザーでもう一つ目を引かれたのが裏地でした。
ジャケットを脱いだ瞬間に現れるのは、ブラックとホワイトの細かなストライプ。
表地の静かな黒とは対照的でありながら、不思議と主張し過ぎません。
Archivio J.M.Ribotは表だけで服を完結させるブランドではありません。
見えない部分にも同じだけの熱量を注ぎます。
この裏地も単なる滑りを良くするための付属ではなく、一枚の布として選ばれています。
よく見ると、こちらにも自然なシワが残されています。
ピンと張られた裏地ではなく、表地と同じように空気を含み、身体の動きに合わせて柔らかく揺れる。
そのため、ジャケット全体がどこか軽く感じられます。
黒いジャケットを着ていても、袖を通したときや脱いだときに、ストライプがふっと現れる。
着ている本人だけが知っているような、小さな発見があります。
表からはほとんど見えない部分ですが、この裏地があることで服全体に奥行きが生まれています。
Archivio J.M.Ribotの服は、正面だけを見て完成するものではありません。
歩いたとき、前を開けたとき、椅子に腰掛けたとき。
ほんの一瞬だけ覗く裏地まで含めて、一着の表情として設計されています。
だからこのブランドは、派手な装飾を加えなくても印象に残ります。
外側と内側、その両方に異なる布の表情を持たせることで、黒という一色の中に静かなリズムを作っているのです。
そして、シルエット。
ウエストはわずかに絞られています。
肩も極端に大きくありません。
クラシックなテーラードを思わせる構成ですが、実際に着るとその印象は少し違います。
身体に沿わせるというより、生地が身体の周りに静かに落ちていく。
そのため立っている時よりも、歩いた時、椅子から立ち上がった時、腕を前へ伸ばした時の方が、このジャケットはきれいに見えます。
シワが増え、また戻る。
布が揺れ、光を受けて陰影が変わる。
その繰り返しが、この服の輪郭を作っています。
袖口や裾には、あえて切りっぱなしに近い仕上げが見られます。
糸が少し垂れています。
普通なら最後に整えてしまうような部分です。
でもArchivioは残します。
完成を急がない。
着る人の時間まで含めて服が続いていくことを知っているからです。
何年も着れば、さらに糸は動き、生地も柔らかくなります。
そこでようやく完成に近づいていく。
そんな考え方です。
このブランドを見ていると、「新品」と「完成品」は同じ意味ではないことに気付かされます。
そして胸元の赤い花。
黒い服を何十着も見続けてきても、この赤には足を止められます。
強い色なのに、服の静けさを壊さない。
黒を引き立てながら、黒に飲み込まれもしない。
この絶妙な均衡は、色彩感覚だけで作れるものではありません。
生地の質感、シルエット、光の反射、そのすべてを理解した上で置かれている赤です。
だから決して装飾的になりません。
HUESではYOHJI YAMAMOTOやm.a+、Geoffrey B. Smallなど、それぞれ異なる考え方で黒を扱うブランドをご紹介してきました。
Archivio J.M.Ribotの黒は、そのどれとも違います。
時間を纏った黒です。
着た瞬間から完成しているのではなく、着る人と時間を共有しながら少しずつ深くなっていく黒。
だからこの服は、買った日が完成ではありません。
一年後も、五年後も、十年後も続いていく服です。
レディースから始まったArchivio J.M.Ribot。
その原点が、ようやくHUESにも届きました。
ブランドを長くご存じの方にも、初めて袖を通す方にも、まずは一度、この生地に触れてみてください。
写真では伝わらない空気があります。
そして袖を通した瞬間、その空気が少しずつ自分のものになっていく感覚を、きっと味わっていただけるはずです。
皆様のご来店とご連絡をお待ちしています。
HUES
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