ANN DEMEULEMEESTERのショートパンツというと、少し意外に感じる方もいるかもしれません。
ブランドを思い浮かべると、ロングコートや細身のパンツ、流れるようなシャツ。そんな縦長のシルエットが頭に浮かびます。
だからこそ、このショートパンツには惹かれます。
ANNが作るショートパンツは、「夏だから短くしました」という服ではありません。
むしろ、ブランドが長年作り続けてきた空気を、そのまま夏へ持ち込んだ一本です。
ANN DEMEULEMEESTER / NORALF WIDE LEG PLEATED SHORTS/ ¥146,300
今回入荷した「NORALF WIDE LEG PLEATED SHORTS」は、その名前の通り深いプリーツを備えたワイドシルエット。
フロントには大きくプリーツが入り、裾までゆったりと広がることで、ショートパンツでありながらスカートのような揺れを生み出します。
素材にはコットン100%を使用し、ベルトループやサイドポケット、バックポケットといった必要最低限のディテールだけを残したシンプルな構成です。
イタリア製らしい丁寧な仕立ても、この一本を静かに支えています。
ANN DEMEULEMEESTERの服を長く見ていると、肌を見せること自体が目的の服はほとんどありません。
大切なのは露出ではなく、布と身体の距離。
身体を隠すようでいて、風が通る。
身体の輪郭を消すようでいて、歩くことで存在が浮かび上がる。
その感覚は、このショートパンツにもそのまま受け継がれています。
丈が短くなったから軽く見えるわけではありません。
むしろ脚が見えることで、黒い布の重さがより際立つ。
歩くたびにプリーツが開き、また閉じる。
その繰り返しが、ANNらしい静かな動きを生み出します。
夏になると、どうしてもTシャツにショーツという機能的な組み合わせが増えてきます。
もちろんそれも悪くありません。
ただ、暑い季節でも服を楽しみたい人にとっては、少し物足りなく感じることがあります。
このショートパンツは、その物足りなさを埋めてくれる一本です。
ショートパンツでありながら、着こなしに余白が生まれる。
タンクトップやシャツを合わせるだけでも、歩いた時の布の動きで全体が完成していきます。
ANN DEMEULEMEESTERの服は、鏡の前で立っている時よりも、歩いた瞬間の方が美しい。
このショートパンツもまさにそうです。
静止した一枚の写真だけでは伝わらない。
数歩歩くだけで、生地が少し遅れて身体についてくる。
その時間差まで含めて、この服は完成します。
ショートパンツを穿くというより、夏でもANNの空気を纏う。
そんな感覚を味わえる一本です。










