シャツでもなければ、スカートでもない。
商品名には「エプロン」と付けられていますが、一般的なエプロンとはもちろん違います。
腰へ巻くことでスタイリングに新しいレイヤーを加える、ANN DEMEULEMEESTERらしいアクセサリーとウェアの中間のような存在です。
ALDRIK SHIRT APRON/ 2620-M- ACC09-FA751-T0913 /¥213,400
黒いシャツに黒いパンツ。
そんなシンプルな装いでも、この一枚を加えるだけで服全体に奥行きが生まれます。
トップスでもボトムスでもなく、スタイル全体のリズムを変えるためのアイテム。
ANNのコレクションを見ていると、こうした"名前では説明できない服"が数多く登場します。
ALDRIK SHIRT APRONも、その代表的な一着です。
ANN DEMEULEMEESTERは、昔からレイヤードを大切にしてきたブランドです。
ただ服を重ねるという意味ではありません。
シャツの裾。
細いスカーフ。
長く垂れたベルト。
コードやリボン。
そうした一枚の布、一つのディテールによって、静止したシルエットへ動きを与えてきました。
このエプロンも同じ考え方から生まれています。
「腰にシャツを巻く」という何気ない仕草。
90年代のロックカルチャーやグランジスタイルの中では自然に見られた着こなしですが、ANNはそれを単なる引用では終わらせません。
偶然生まれた着崩しを、一着の服として再構成しています。
だから実際に着用すると、デザインを足したという感覚ではなく、最初からそこにあるべきピースだったように馴染みます。
素材には柔らかなウールフランネルのタータンチェックを使用。
赤を基調としたクラシックなチェックですが、黒を主体とするANNのスタイルへ合わせることで、不思議なほど落ち着いた印象になります。
ブランドにとってタータンチェックは決して珍しいモチーフではありません。
黒だけでは生まれない温度を加え、スタイリングへ少しだけロックの匂いを残すための柄として、長年コレクションに登場しています。
フロントでは生地を結び、腰にはレザーベルトで固定する仕様。
シャツを腰へ巻いたような見た目でありながら、実際には美しく形が保たれるよう設計されています。
さらに印象的なのが、腰から垂れる長いブラックストラップ。
必要以上に長く設定されたこのストラップは、歩くたびに揺れ、黒いパンツのラインへ自然と溶け込みます。
機能のためというより、動きを生み出すためのディテール。
ANN DEMEULEMEESTERを象徴する要素の一つです。
このアイテムの面白さは、立っている時より歩いた時にあります。
前で結ばれたタータンチェックは左右対称には落ちません。
結び方や巻く位置によって、生地の重なりやドレープは毎回少しずつ変わります。
つまり完成形はありません。 着る人の身体によって、その都度シルエットが決まっていきます。
歩けば生地が揺れ、少し遅れてストラップが動く。
立ち止まれば静かに布が落ち着く。
その一連の流れが、黒一色のスタイルへ自然な奥行きを生み出します。
シャツやコートのように主役になる服ではありません。
しかし、この一枚が加わることで、いつものANN DEMEULEMEESTERが少し違って見える。
レイヤードとは服を増やすことではなく、動きや余白を増やすこと。
ALDRIK SHIRT APRONは、その考え方を最もシンプルな形で体現したアイテムです。











