今日は、ANN DEMEULEMEESTERから新たに届いたスニーカーをご紹介します。
先日ご紹介したブラックに続き、今回入荷したのは、ANNの世界観を象徴するような新色“ダスティーホワイト”。
ただ白いだけではない、どこか陰影を帯びた色味。
まるで長い時間を経た布や、光に晒され続けたキャンバスのような、淡く曖昧なニュアンスを含んだカラーです。
ANN DEMEULEMEESTERというブランドは、常に「白」と「黒」を特別なものとして扱ってきました。
それは単なる色ではなく、感情や空気、静けさや余韻を纏うための要素。
今回のダスティーホワイトもまた、その延長線上にあるカラーです。
真っ白ではない。 しかし汚れているわけでもない。
その中間にある、どこか儚く、退廃的で、それでいて気品を感じさせる色合い。
ANNらしい“ダーク・ロマンチシズム”を、静かに足元へ落とし込んだ一足です。
今回ご紹介するのは、ミッドカットモデルの「SARIN」と、ローカットモデルの「HALLI」。
まずは、ブランドの新たな定番として位置付けられるミッドカットモデルから。
ANN DEMEULEMEESTER /SARIN VULCANIZED MID-TOP SNEAKERS / ¥108,900
一見すると、誰もが知るクラシックなキャンバススニーカー。
ですが、実際に目の前にすると、その印象は大きく異なります。
余計な装飾を削ぎ落としたフォルム。 必要以上に主張しないディテール。
そして、全体に漂う静かな緊張感。 それらが組み合わさることで、このスニーカーは単なる“カジュアルシューズ”ではなく、
ANNらしいモードの空気を纏った存在へと変化しています。
アッパーには、柔らかなカーフスエードを採用。
わずかに起毛した質感が光を穏やかに受け止め、ダスティーホワイトという色に奥行きを与えています。
この素材使いが非常にANNらしい。
派手な加工やデザインを施すのではなく、素材そのものが持つ陰影や表情を活かしながら、空気感で魅せる。
近くで見るほど、その繊細さが伝わってきます。
また、アイレットやステッチワークも極めてミニマル。
通常であれば装飾として目立つはずの要素を限界まで抑えることで、スエードの質感やシルエットの美しさが際立つ設計になっています。
そして、このスニーカーを特徴づけるもう一つの要素が、厚みのあるバルカナイズドソール。
視覚的にはしっかりとしたボリューム感がありますが、実際に履いてみると驚くほど軽やかです。
この“見た目と履き心地のギャップ”も、このモデルの魅力。
重厚感のある見た目に対して、実際は軽く柔らかい。
そのアンバランスさが、足元に独特の存在感を生み出しています。
クラシックなバルカナイズ製法を採用しながらも、シルエット自体は非常に現代的。
つま先はややシャープに整えられ、ソールとのバランスも絶妙です。
ヒールにはブランドロゴを刻んだパッチとリベットディテール。
しかし、それも決して前面には出てこない。
「ブランドを見せる」のではなく、「空気として漂わせる」。 この“語りすぎない美意識”こそ、ANNの魅力です。
無骨すぎず、細すぎない。 その中間にあることで、ANNらしいモード感を自然に成立させています。
続いて、ローカットモデル。
ANN DEMEULEMEESTER /HALLI VULCANIZED LOW-TOP SNEAKERS / ¥97,900
ミッドカットに比べると、より軽やかで日常に馴染みやすい印象。
ただ、単なるベーシックなローカットスニーカーではありません。
こちらもまた、ANNらしいスタイルを持っています。
ローカット特有の軽快さはありながら、ソールのボリュームによって足元にはしっかりとした存在感。
そのため、スタイリング全体が軽くなりすぎない。
夏場のシンプルな装いにも、自然と存在感を与えてくれます。
また、このスニーカーの魅力は、実際にスタイリングした時により明確になります。
細身のトラウザーズと合わせれば、シャープでストイックな印象に。
一方で、ワイドパンツやドレープ感のあるボトムスと合わせると、足元に自然な重心が生まれ、全体のシルエットが美しく整います。
ANNの服に共通するのは、“揺らぎ”の美しさ。
ドレープやレイヤードによって生まれる、曖昧な輪郭。
このスニーカーは、そうした洋服の空気を壊すことなく、むしろ引き立ててくれる存在です。
近年のスニーカートレンドを見ると、極端なボリューム感や過度な装飾性を持ったモデルが多く見られます。
ですが、このANNのスニーカーは、その流れとは少し異なる立ち位置。
トレンドを否定しているわけではない。 しかし、そこへ迎合もしない。
あくまでANNというブランドのフィルターを通して、クラシックなスニーカーを再構築している。
その距離感が、とてもANNらしいのです。
ブーツほど重くない。 レザーシューズほど緊張感もない。
けれど、普通のスニーカーとも違う。
その絶妙な中間に位置することで、この一足はスタイリングに新しい選択肢を与えてくれます。
日常に自然と馴染みながら、確かな個性を持つ。
そして、履く人のスタイルに静かに寄り添ってくれる。
SARIN、そしてHALLIは、単なるスニーカーではありません。
スタイリング全体の空気を整えるための、“静かな基点”。
ANN DEMEULEMEESTERが長年培ってきた美意識と、今の空気感。
その交差点にある一足として、今季ぜひ手に取っていただきたいスニーカーです。












